山の羅針盤とは

昨年の3月27日、あの日私たちはあってはならない事故を起こし、
仲間と恩師の8人を一度に失いました。

当時、私は大田原高校山岳部の1年生として講習会に参加し、
隊列の7番目を進んでいました。

雪崩に呑まれ、2時間近く全身が雪に埋まっていましたが、
引率の先生方や仲間に掘り出して頂き、何とか一命を取り留めることができました。

あの日から今日に至るまで、沢山の方々に多大なご迷惑・ご心配をお掛けしました。
誠に申し訳ございません。

同時に皆様にご尽力頂きましたこと、心より御礼申し上げます。

私は事故の当事者の1人として、この事実をしっかりと受け止め
先ずは反省し、そしてこのような悲惨な事故を二度と起こさないために
事故の原因を考え、また高校生における登山・山岳部とは何か
安全な部活とは何かなど、今まで自分なりに考えてきました。

また、栃木県が設置した事故の検証委員会を可能な限り傍聴させて頂き、
高体連や登山専門部が行った説明会にも積極的に脚を運びました。

その中で、冬山登山の全面禁止だけではなく、
高校生における山岳部の存在、そのものについても議論がなされました。

今回の事故で山岳部・登山の危険な部分ばかりが、クローズアップされています。

しかし、本来登山は危険なだけではなく、
山でしか得られない経験や知識、リスクマネジメントを学ぶことができるスポーツです。
そして私は山岳部で、かけがえのない仲間との友情や結束を培ってきました。
また、何より亡くなった先輩や友だち、そして生き残った部員、先生たち
みんな山を、自然を愛していたことを知って貰いたく、このサイトを立ち上げました。

山が好き、
自然が好き
という気持ちだけで登山はやってはいけません。

まず優先すべきは安全です。

私は、今回の事故で多くの事を学びました。
そして、高校生の登山について色々悩み続けています。

今後、事故で亡くなったみんなの死を決して無駄にはしないために
高校生の登山について自分の考え、気持ちを綴っていこうと思います。

最後になりましたが
亡くなった先輩、友人、先生たちのご冥福を心からお祈り申し上げます。

平成30年3月13日

栃木県立 大田原高校
山岳部 三輪浦 淳和

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