本当なら、今日から浅井先輩は新しい学び舎で、新しい生活をスタートされるはずでした。
先輩との最初の思い出は、2016年5月、新歓登山でした。2年生のはずなのに3年生に負けず劣らず、スイスイと山を平地のように駆け回っていたのが、浅井先輩まさにその人でした。
浅井先輩は正に文武両道の方で、校内であったディペード大会にも出場され、正直こういう人を天才と呼ぶのだと思いました。その秀逸ぶりで、登山における座学の天気図を担当し、その幅広い知識を、私たちに丁寧に、分かりやすく教えて下さいました。
その脚は「関東一の健脚」との呼び声もあるほど秀逸で、でもユーモアにあふれ、それでいて誰にでも優しく接してくれる春の青空のようにどこまでも澄み切った心の持ち主でした。
部活動の合宿では、計10日ほど一緒のテントで過ごしたことがあります。7月、北岳でのことです。それまでも私たちを気にかけて小まめに声をかけて頂いていましたが、いっぱい話し込んだのはこの時が始めてでした。浅井先輩は、太陽のように明るく、茶目っ気があり、実先輩の昔話でテント内にいつも爆笑を提供してくれました。
また、浅井先輩と鏑木先輩といつか一緒にキリマンジャロ登頂を約束していました。気が付くと3人で山や自然の話で盛り上がっていたな、と今になってよく思い出します。
浅井先輩は、僕たちの前を進んでいてくれました。昔の僕は浅井先輩の背中だけをみて歩んできました。今はもう山を歩いていても、浅井先輩の背中がそこにないのが、僕には非常に寂しく感ぜられます。
もうどんなに頑張っても、浅井先輩に追いつくことは出来なくなってしましました。
でも、今度は僕が、あとに続く後輩たちのために、先輩の遺志、夢を継いでいける人間になれるよう、頑張っていきます。
先輩が私たちに残してくれたものをしっかり後輩に伝え、先輩たちの笑顔があった部活を引継ぎ、次に繋げていければ、少しは浅井先輩に褒めてもらえるかなぁ。
コメント
ヤマレコにURLを紹介させていただきました。